横浜ジャズプロムナードに行ってきた(2008)

今年は土曜日の鈴木勲さんのここ数年とは全く違うユニットにも興味がなかったわけではないが、他の聴き所と考え合わせ日曜日に行く事にした。土日連続で毎年行けばいいのだが、一日だけで結構腹いっぱいの気分になるんだよね。関内〜みなとみらい周辺を行ったり来たりするのも、一日だけなら楽しいけど二日連続となると義務的なものも出てきてしまいそう。義務じゃないからねえ、ライブ。お気楽に見たいのだ。
(事情あって随分たってから書いてるので記憶違いもあるかもしれないのでご容赦を)

津村和彦カルテット

リーダーらしくない謙虚な人だったが、シャープな演奏で楽しめた。
以前に別のギタリストのユニットをみたときは、ギターという楽器のせいか分からないが途中単調になってやや飽きてしまったりしたが、そんな事は全く無かった。単音中心でパラパラ弾かれると飽きるのかなあ。津村さんの演奏は幅が広かったし、オリジナル曲をやってくれた事も大きかったんだと思う。お目当てのひとり本田珠也さんはリラックスした服装であくまで裏方的なセッションモード。去年よりずっとオジサンくさかった。もっと激しいのが見たかった。
そしてやはり荒巻茂生さんのベースがいい。この人の演奏を見ているだけで、ライブに来てるんだなあ、と思う。見ている方も熱くなって、演奏にどんどんのめり込んでいく。ライブは音だけじゃなくて、目でも楽しむもんなのだ。

石田幹雄トリオ

やたらとすごい演奏を見せられた印象。あまりノれるタイプの音楽ではないので、例えば静かなパートなどでは緊張感を保つのがなかなか音楽シロートには難しかった。もっと後ろの席でも演奏が見渡せるような会場だったら違ったかもしれない。それと、私はもっとビート感のあるものが好きなのだろう。
もうすでにかなり固定ファンがいるらしく、会場も満員だし、曲が終わると歓声も上がる。こういうスタイルのものを求める人が沢山いることは嬉しい。矛盾したような事をいってるみたいだが、オリジナル中心の、しかもこれまで聴いたこと無いような意欲的な曲を書く人はそれだけで評価しちゃう。オリジナルこそジャズの一番の醍醐味だと思う。
多分この人はソロでやってもすごい迫力なんだろうと思うが、小山彰太さんのスーパードラムが石田さんの演奏を何倍も楽しめるものにしてくれた。「限界高速」という最後の曲はただただ圧倒。この曲は何度か聴いてみたい。一度だけじゃ圧倒されただけで終わっちゃうんだもの。

安井さち子トリオ

ランドマークの方に買い物の用事もあったので安井さち子さんへ行ったのだが、同じピアノトリオでこうも違うのかという演奏。この人の一番の特徴はオリジナル曲の親しみやすさだろう。普通のピアノトリオなのだが、黒っぽさは全くなく、どちらかといえばフュージョンっぽい印象すら抱いた。
ここでは、終始笑顔でライブを楽しんでる感じのジーン重村さんがいたお陰で聴衆が結構盛り上がったんじゃないだろうか。こういう人がひとりユニットにいると違うんだよね。

井上陽介Z's special

今年来て良かったと思えるのは、井上陽介さんの演奏を見たから、と言ってしまっても良いと思う。ベースがこれほど中心的な楽器として楽しめるものだとは全く思わなかった。大坂昌彦さんとかやはり名の知られた人らしい良い演奏だったが、やはりベース演奏の多彩さに尽きる。繰り返しになっちゃうけど、それにしてもベースがこんなにも幅があって楽しめる楽器だとは、私には衝撃的だった。
聴衆ももっと聴きたくなったのだろうアンコールの拍手すら上がったが、次の演奏があるとの事で、井上さんがステージでわざわざ説明していた。

その後

今年は用事があって最終ステージ前に帰宅したが、竹内直さんのサックスを少しだけでも聴きたいなと思ってライブハウスに行ったら満員で立ち見すらさせてもらえなかった。このジャズクラブが殆ど満員になってしまうというのは、横浜ジャズプロムナードの一番の欠点。チケット買っても見れないステージがあるのなら何のためのチケットなの、と思っちゃう。
私の提案としては、ジャズクラブはチャージプラスアルファして、カネを積んでも見たいという人に人員制限して、かつ夕方からは会場を増やしてもっと色んなミュージシャンを見れるようにして欲しいということ。会場無いなら屋外でもいいじゃんか、と思う。
ところで入場できなくて駅までとぼとぼ歩いていたら、井上陽介さんがベースもってひとりでさっきの会場から歩いてきてた。誰にも囲まれるわけじゃなく。そうなんだよね。去年も田中信正さんとトイレで遭遇したけど、スーパーテクミュージシャンがすぐ傍にいてビックリしたりするのがジャズなんだよね。